Feb 22, 2014

同人百迷走 第10話「同人サークルの解散理由は『女』と『金』←これマジ?」


前回「同人誌の在庫は財である
初回「おかえり僕のサブカルたち

徳間書店で月刊アニメージュの編集長を務め、
スタジオジブリの名物プロデューサーである鈴木敏夫はこう言いました。

「何かを始める時は二人以上」


ほとんどの製品においては個人が凄まじい労力を使って制作したとしても、
たった一人で世に出すことはなかなか難しいでしょう。

ツールや流通は日々進化し、少人数での制作もある程度は可能になってきましたが、
それにしても誰とも関わらずに大きな仕事をすることは不可能だとオレは思います。
素晴らしい製品には制作、流通、維持などのエキスパートが必要なのです。

それ故に人は組織を作ります。

会社とはその一つの例であり、お金や公共の福祉のために集合し、働きます。
その目的は明確で、また、わかりやすく多くの人に伝えるために体系化されます。

同人サークルは目的があまり明確でない組織の典型だといえます。

もちろん「同人誌の制作」という点だけみればわかりやすい目的です。
しかし実際は本を「作らない」「売らない」作ったとしても「完成度が低い」、、
そんなサークルも存在します。

なぜそんな事が起きるかというと企業とは別の目的だからです。

同人誌は「仲の良い人と本を作る」という目的で組織化するケースが多いからです。


同人サークル>目的:本を作る仮定を楽しむ 集団:仲の良い人同士
企業>目的:お金や制作・公共の福祉 集団:目的を遂行するためのプロ


前置きが長くなりましたが今日はそういった組織の性質を元に、
作品の陳腐化やサークル内のトラブルについて考えていきたいと思います。



あんなに一緒だったのに


楽しむために組織を作る事自体は何の問題もありません。
しかし実際にトラブルが増えれば楽しくもなくなってしまいます。

同人の場合、仲の良い人同士でサークルを組むケースが大半だと思います。
理由はコミュニケーションにかけるコストが安くて済むからです。

しかし、実際は仲良しサークルだったはずなのに、
トラブルやメンバーの離脱が多発する現象も多いのです。

会社ならわかります。
制作プロセスを楽しむ目的ではないからです。
そりゃ嫌なこともあるでしょう。

では楽しむ目的で結成したものの、
結果として楽しめなくなってしまったケースが生まれるのはどうしてでしょう。

仲の良い人達で集まったら、良い作品は生まれないかも知れないけど、
その過程は楽しいという理屈は間違っているのでしょうか。

データを取ったわけではないのでかなり主観的な話になります。
個人的には仲良しサークルほど崩壊しやすいと思ってます。

逆説的に言うのであれば「仲の良い人同士」で組織化と「楽しい制作過程」は、
イコールではないのです。

その理由は後ほどまとめます。


サークラ女はなぜ現れるのか



「サークラ」とは「サークルクラッシャー」という意味のスラングで、
主にサークル、コミュニティをぶっ壊す人の事を指します。
女性の場合は「姫(ひめ)」とも呼ばれてますね。

男目線で恐縮ですが要は人間関係のトラブルです。
男女が混合するサークルではそういった話は非常によくあります。
特に男中心の同人サークル内では女性が極端に少なかったりするのです。

「代表と○○が付き合って、なんかすごく参加しているのががだるくなった…」
「□□のサークルに入ったけどしょっちゅうSkypeとんできてキモイ」
「イベントのために東京に来て、知り合いに宿を借りることになったんだけど…」

同人しかり、学園祭しかり、部活動しかりですが、
集団制作は人との距離がぐっと縮まる瞬間が多いです。

特に絵描きで中学、高校、大学と孤独に過ごしてきた人なんかは、
ネット経由で急に知り合いが増えると対応の仕方がわからず、
距離感を間違えるケースがいくつかあるのです。

絵の上手さを今まで評価されなかった22年間、一人でずっと描いてきた。

しかしネットにイラストをアップしたらファンが増え、
同人誌を出したら凄く売れた。

即売会では女の子が何度も挨拶してくれるようになった。
その中でも気が合った子を打ち上げの飲み会に呼んでもっと仲良くなった。
プライベートでも何度か遊ぶ内に「オレの好きなんじゃね?」とか考える。

そう思って告白してみたら……


そんな話はほんとよく聞きました。


一方で、イラスト制作者の人口は実は女性の方が多いです。
それはSNSにおいても同じで、活動的なユーザーは圧倒的に女性です。
美大、専門学校でもそうでしょう。

ここで不思議な事に気付きます。
女性がこれだけ多いにも関わらず、なぜ女性は姫化するのでしょうか?

理由として趣味、志向の一致でサークルを作る場合は性差が出るということです。

つまり男女比8:2のサークルがある一方で男女比1:9の逆ハーレムサークルがあるのです。
むしろ10:0や0:10のサークルも多いでしょう。
そういった圧倒的な偏りが女性を姫化させるのです。
(逆に男の「姫化」って聞いたことないです)

結論として特殊な性質を持った人がサークラ女になるのではなく、
同人やオタクコミュニティという空間がそういった存在を生みやすいのです。
まぁそういう男の空間に入ってくる女性を特殊と言ってしまえばそれまでですが。

ちなみにこういった女性は見た目が可愛い云々はあんまり関係ないのです。
外から見れば「なんでこの女が…」みたいな方がモテモテだったりすることも、
実によくあるのです。


金銭関係のトラブル



お金に関するトラブルも非常にバラエティに富んでます。

合同誌の場合は立て替えのお金を払わないというものがあります。
印刷代などの精算はその都度メンバーから徴収しては手間なので、
一人がまず一括で払い、あとで割り勘分を請求するということはあるでしょう。
これを払っただの払ってないだのという話ですね。

別のケースとしてサークルの売り上げの配分についてのトラブルもあります。
予想以上に収益が出た場合、誰に多く支払うかという問題です。
企画への貢献度を測ることは難しい問題であり慎重に協議する必要があります。


タスク関連のトラブル


「やる」と言ったのに「やってない」、
メールや電話を返さない、約束を破る、、、
などといった直接の業務遅延に繋がるトラブルです。

これは性格ではなく仕事能力と呼んでもいいとオレは思います。

若い人達で同人サークルを結成すると仕事慣れしていない事が多いので、
どうしても業務を怠ってしまいがちです。
単純に忘れてたり、やったけど詰めが甘かったり、抜けてたりします。

先ほどから述べた男女間や金銭的なトラブルも仕事能力に依存していると思います。
感情的な部分は人間なのであっても良いですが、
それがタスクに影響するならば問題です。

もう一度書きますが、これは性格ではないのです。
つまり訓練によってある程度の改善が可能だと思います。

実際、オレ自身この辺はかなりルーズな人間ですが、
それでも大きなトラブルもなくサークル代表をやることができました。
(誤植とか差し替えミスとか出したけど!本当にすいません!!!!)


同人サークル消滅の一番の理由は企画の陳腐化



集団制作内で起こるトラブルについていくつか例を挙げて書いてきました。
こういった些細なトラブルが積み重なり、メンバーの仲が悪くなり、
結果として制作がつまらなくなります。
そうなると当初の「楽しむ」という条件が満たせず、サークル解散となるのです。

しかしそれが一番の理由ではないとオレは思います。
一番は参加者にとって企画がつまらなくなることです。

最初は刺激的だった企画もだんだん微妙になってモチベーションが乾くのです。
お金をたくさん稼げるサークルなら別です。
それ自体がモチベーションになります。

しかし先のような仲良し、馴れ合いサークルにおいては企画の陳腐化は致命的です。

それゆえサークル代表がサークルを維持したい場合は、
面白い企画を考えること、もっと言うと参加メンバーを楽しませることに、
神経を使うべきなのです。

ちなみに「解散」といっても実際は自然消滅が多いでしょう。
メジャーアーティストならともかく多くは素人集団です。
「解散します」 と宣言して活動を終了するほど律儀なサークルは少ないです。


強いサークルにしよう



ではそういった問題を解決するにはどうすれば良いでしょうか。
ポイントはメンバーをどう楽しませるか、企画をどう充実させるかにあります。
収益性の確保は組織がマトモに運用できてから考えるべきで、
まずはどう人を動かすかだと思います。

ここまでさらっと書いたつもりですが予想以上に長くなったので、
解決編は次に回したいと思います。

次回「仲良し同人サークルほど崩壊しやすい!?」へ続く



<連載目次>

第0話「おかえり僕のサブカルたち
第1話「DESIGN FESTAで作品を売る……2年経っても赤字
第2話「就職活動、HAL研究所の最終面接でやらかす
第3話「カイカイキキ入社!村上隆の仕事現場 前編
第4話「カイカイキキ入社!村上隆の仕事現場 後編
第5話「同人イベント初参加で1000部を発行!!実売数はわずか50部
第6話「これからは同人誌の時代、そう考えていた時期がオレにもありました
第7話「同人誌の在庫は悪である
第8話「在庫800部を抱えつつ次回作を企画、発行部数はもちろん…
第9話「同人誌の在庫は財である